ひとつの通過点

BRUTUS (ブルータス) 2008年 7/1号 [雑誌]
マガジンハウス

今日は、絵について思うことしばしば。

この２～３日、仕事で、人生初の、とても重要な絵（内容は言えなくてごめんなさい）を描いていましたが、本日無事チェックを通りました。
最後の関門、わがチームのビッグボス（この夏から坊主頭に戻りました）で３リテイクいただきましたが、ボスもこの仕事の重要性を十分わかった上での愛の鞭だと信じ、どうにかこうにか喰らいついて、なんとか仕上げることができました。

今回の仕事は、この業界に入ったら絶対にやってみたいことの一つでした。
でも長い社会人生活の中で現実に埋もれていき、すっかりそんな夢を持っていたことを忘れてかなりの時間が経っていましたが、この春から電撃のように走った新しい仕事への希望！
いろいろ大変でしたが、本来やるべき仕事は夏休み前に見事な着地を決め、協力してくれた皆々様のおかげで無事終了したのでした！

そしてこの夏休み明け、メインの仕事が終わった後の集大成のような位置付けで今回の絵を描かせていただきました。
でも、なんていうかマイナス方向の緊張感は無く、すごくいいポテンシャルで取り組むことができたのが奇跡。
これのためにここまでやってきたんだ！的な気持は、いま、割と薄いのです…もしかしたら発売される頃にめちゃくちゃ緊張とか訪れるのかもしれません。
ほんとにまだ実感が薄くて、これからも同じキャラクターを何度も描くことになるのはすでに確定していて、自分の中でこの仕事はまだ終わってないからかも知れません。
だから今日の絵は、まだ通過点と認識しているようです。

なんかそんな気持ちで帰路につき、途中で立ち寄った本屋で、このBRUTUSを見つけてしまい早速読んで…
なんだか泣けてきました。
こんなにすごい井上さんも、もっともっと先を見て今を生きているんだな、と感じました。
道なき道を手探りで泥臭く歩んでいく姿がかっこいいです。

SLAM DUNK、バガボンド、リアル…
どの作品も大好きです。
そして特にバガボンドは、読んでいると呼吸がおかしくなります。
何かに急き立てられるような、内側から何かが湧き上がってくるような、そんな気持ちになります。

読者に強い感情を呼び起こさせてしまう作品を描き続けられる井上さんは、やっぱり凄いです！！！

私の絵は井上さんほど多くの方々の目に触れる機会はないですが（比べるのもおこがましいですが…）
見ていただいた人に何かを感じてもらえる、少しでも心のどこかが動くような、そういう絵をいつか描けるようになりたい。
そう思い続けています。



ということに改めて気づくことのできた、すてきな日です。



もっともっと前へ。