懐かしい

先日、突然家の電話が鳴る。

出てみると、あら懐かしい！
大学生のとき家庭教師をさせていただいた女の子からでした。
敬語も使いこなしてもうすっかりおとなになっていました。
が、話しているうちにどんどん当時の感じに戻っていきました。

うちの実家から私の連絡先を聞いて電話してくれました。
私のことを覚えていてくれただけでも嬉しいのに、電話してきてくれるなんて！


私は大学生の時にアルバイトとして家庭教師をしていました。
そして今回電話してきてくれた彼女が中学１～２年生の時に、週に２回ほどお勉強を見てあげていました。
が、こっそり二人でジャンプ読んだり、中学校であった面白い話を２人で笑いながらおしゃべりしたり、親御さんにとってはご迷惑な話だったと思うのですが、その子自身とはとても仲良しでした。
一緒にお出かけしたりもしました。
親御さんもとてもよい方たちで、一度「レ・ミゼラブル」のお芝居に連れて行ってくださったときは本当に恐縮でした！大人になってから知ったのですが、ミュージカルのチケットって、めちゃくちゃお高いですよね…それをタダで…ほんとうにありがとうございました。
そんなこんなで私の就職が決まって、彼女の受験に付き合うことなく家庭教師を終えてしまうのはとても残念で名残惜しい思いでいっぱいでした。

しばらくは年賀状のやり取りもしていたのですが、だんだんと疎遠になり、長い間お互いに連絡を取ることはなくなっていました。

子供を育てているある瞬間、会社で部下に指導するとき、中学生の女の子と話をするとき、ふとその家庭教師した女の子のことを思い出していました。
今頃何やってるのかなあ…と。

普段から無意識にも気にかけていたその子自身から、今回突然連絡が来て、私も本当に嬉しくて。
長くなっちゃったけどいろいろお話ししました。

本人は、思春期に私の影響を多分に受けたのだと言っていました。
その子のご両親はお医者さんで、家庭教師をつけるくらいなので、やっぱりお勉強については頑張ってほしいと思っていたのでしょうけれど、
家庭教師についた私が歩んだ道を目の当たりにしていたその子には、
「好きなことを進路に選んでもいいんだ」
という追い風を与えてしまったようです。
その子も私と同じく、大学の進路は美術系の道を選んだのだそうです。

私も大学受験の時は理系を選んでいたのに、推薦の面接のときに美術の成績表を見た試験官から「どうして美術系の道を選ばず、この大学をうけたのですか？」と聞かれて、そこで何かを自覚し、美術系大学の受験に転身しました。
周りからは驚かれたり、怒られたり、批判されたりしたけれど、結局今は好きな絵の仕事にもつくことが出来て、本当に好きなことを選んでよかったと思っています。

…その家庭教師してた女の子も、好きなことを進路に選ぶ勇気が持てたということは、よかったんじゃないかと思っています。
もし我慢して諦めてしょうがなく選んだ道で、いやな目にあったりくじけたりした時、好きで選んでくじけた時とはまったく違う感情、感覚があるのではないか、と。
ネガティブに選んだ選択肢では、そう選択させてしまった何か、誰かを恨んでしまうのではないか、と思います。
でも自分で選んだ道なら、なにかあっても恨むのは自分自身。自分で選んで結果出したんなら、もしOKでもNGでも絶対得るものはあるし、その選択肢の結果はすべて自分に返ってくると思うのです。というか、自分で選んだんだもの、その結果からは逃げられないよね。
でも、逃げられないからこそ、その経験は次の選択肢のときに生きてくる。
そうやって一歩でも半歩でも前に進めるのだと思います。

その子もそういうことに気付きながら成長しているのかな、と。

電話越しにちょっと泣いてたみたいだったので、もしかしたらなにかあったのかもしれないけれど、その子ならきっと自分で何か考えて前に進めるんじゃないかな。

１月に落ち着いたら会う約束をしたので、
そのときに会って、成長した姿を見るのがとても楽しみです。


私には知り合い、ともだち、大事にしたいと思う人、がたくさんいると思います。
人との出会い、一緒にいた時間、そしてその人からもらった感情、空気、感触は本当に私の宝です。
ありがとう。
みんなとの出会いが、自分を成長させ、そして生きるエネルギーをもらっています。
もらってばっかりだと悪いので、私もみんなにエネルギーをあげられる存在になりたいな。